タトゥーがあると入場を禁止している温泉施設が日本にはまだまだあります。
なぜ温泉施設でタトゥーは禁止されているのでしょうか?
施設側によるタトゥー(刺青)禁止の実態について
観光庁が2016年に発表したある調査がここにあります。
全国にある旅館やホテル約3,800もの施設を対象にアンケートを実施。
その回答結果では、ほとんどの施設が入浴場への入場を拒否していることが分かりました。
下記のグラフは観光庁の数値をグラフ化させたものです。
では、なぜ日本の温泉や入浴施設はダメなのでしょうか?
ダメな理由をひも解くために、少し歴史をさかのぼってみましょう。
いつからタトゥー(刺青)はダメになったのか?
日本での刺青を入れた人への入場規制は、昔から存在しているようです。
「イレズミと日本人 / 著 山本芳美」によると、
1940年代には、すでに「イレズミお断り」の張り紙をする温泉があったという。
1940年代から各自治体などが個別で刺青を入れた人への入場を禁止する動きがあったとされています。この頃からダメになっていったのでしょうか。
そして、同じころに未成年者への刺青禁止の条例ができたそうです。
温泉以外では刺青はダメだったのか?
少し前にニュースでも話題になった、神奈川県逗子海水浴場の刺青保持者の利用禁止条例ですが、こちらも実は前から存在していたのです。
同著によると、
1994年07月、岡山県牛窓町(現:瀬戸内市)では、町営海水浴場への「入れ墨お断り」を決めた。イレズミをした人を見つけたら町議員が立ち退きを勧告し、聞き入れられなければ警察に通報することとした。
1994年に牛窓町(現:瀬戸内市)は、全国に先駆けて刺青(タトゥー)を入れた人の海水浴をダメにしていたようです。
近年の海水浴場へのタトゥーダメ運動は、かなり前から地区別に規制をしていたのです。
もっと時代をさかのぼってみましょう。
江戸時代での銭湯は男女混浴が当たり前だった?
出典:江戸ガイド
お風呂のような場所で、江戸時代の女性は、男性に裸を晒す行為についてはとても寛容だったようです。
しかし、施設内での利用が今のお風呂とちょっと違ったようです。
それは、異性の裸を見ればもちろん、ある感情が湧き上がってくるものです。
そうすると施設内である行為を目的に銭湯にくるカップルもいれば、痴漢する者、覗き見る者など、いわゆるダメな客層もいて、風紀が乱れる時もあったようです。
この乱れた風紀を案じた時の政府が1791年に銭湯での混浴禁止令を発します。
しかし、一度や二度の禁止令では、混浴を根絶することはできなかったようで明治新政府が取り締まるまでこのしのぎ合いは続いたそうです。
この明治政府の動きの一つに、1872年(明治5年)に司法省によって発令された違式註違条例(いしきかいいじょうれい)を受け、刺青、男女混浴、春画、裸体などの行為を禁じたのです。文明国にあるまじき行為として規制されていくのです。本格的にダメになっていった頃ですね。
そして、当時の東京府知事が布告を発し装飾用途の刺青を禁止にしたのです。
つまりイレズミはダメだよと規制されたのです。この頃から、日本人の抱くイレズミへの印象に変化が生じていったのでしょうか。
タトゥー(刺青)があると温泉入場がダメな理由
冒頭の統計にもありましたが、施設側の拒否理由で一番多いのは、トラブルを未然に防ぎたいという施設側の思惑があります。
イレズミを入れていない人からのクレームを恐れての防止策というのでしょうか。
そして1992年に制定された暴対法がさらなる刺青排除につながっていくのです。
入場規制につながった主な理由
- 明治初期からお風呂事情が変化した
- 入れ墨を入れていない人からのクレーム防止
- トラブル未然防止
- 暴対法関連
これらの理由が起因して入場することがダメになっていったのです。
刺青に嫌悪感を抱く者、肯定する者、ひとつのカルチャーとしてとらえている者、日本人だけではなく、世界中の人それぞれが自分の価値観を持っています。
世論というものは時代時代によって異なり、昔は「粋」であったものが、現代では通じない時もあります。もちろん逆もしかり。
ただ、どの時代でも言えることは『温泉やお風呂に浸かる』という行為が第一の目的であり、心身をリフレッシュすることが目的です。
そのために、あなたがまずは何をすれば良いのか?は考えれば答えに辿りつけるのではないでしょうか。
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